2013年10月4日金曜日

「クロワッサンで朝食を」@神戸アートビレッジ

フランスの大女優ジャンヌ・モローと、エストニアの女優ライネ・マギ。

このポスターを見た瞬間にこの映画「クロワッサンで朝食を」を観たいと思いました。

ポスターと邦題からは、いかにも"パリのマダムのお洒落な・・・”というイメージ。
たまには、自分とかけ離れた世界に数時間浸ってみたいという気持ちで観に行きました。

ですが、原題は「パリのエストニア女性(Une Estonienne a Paris)」。

若い頃にエストニアからパリに移り住み、奔放な人生を歩んできた老婦人と、人生半ばを過ぎて家政婦として初めてエストニアからパリにやってきた女性の話。

それぞれの人生を送ってきた2人の女性が、少しずつ互いを理解し合いながらも、適度な距離のとり方を探りながら生きていくのだろうか、と思わせるエンディングまで、
誰にでも訪れる人生の転機、現実に向き合い、少しずつ変化していく2人の女性の姿は、自分とそれほどかけ離れてもいないところもあって(かといって似てもいないのですが)引き込まれる内容でした。

そして、やはり舞台はパリ。
アンヌの心情とパリの風景が重なる素敵なシーンがたくさんありました。

夜になってフリーダが眠った後、アンヌがパリの街を一人で散歩するシーン。
アンヌにとって「憧れのパリ」にいるというささやかな喜びの中で自己を見つめ、自分を再生しようとしているかのような穏やかな時間の流れ、その孤独な心地よさ、わかるような気がしました。

そして、後半の、フリーダの元を去ってエストニアに戻ることを考えていたアンヌが早朝、エッフェル塔の前に立ってクロワッサンを頬張るシーンも。
前方を見つめるアンヌの姿の美しいこと。
 
人生半ばを過ぎても夢や憧れにふと心躍らされることがある、それは決して若い頃の希望に満ちたときめきとは違うのだけど、そんなささやかな心の動きが生きる力をよみがえらせるもの。

あらためてそんなふうに感じさせてくれた、今、観ることができて良かったと思う、静かな余韻の残る映画でした。


いつもちょっとマイナーだけど味のある良い映画を上映するミニシアターが入っている神戸アートビレッジ(→)。
館内ロビーには、全国の映画、展覧会、コンサート、イベントなどのアート情報がいっぱい。
またまた、たくさんのパンフレットをピックアップして帰りました。
 

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